商品価格上昇リスク

(ひとりごと)
 実際に景気が悪くなってきた。小職は2年ほど前から原燃料価格の高騰が続くことにより、最終消費の弱い日本が最も影響を受ける、と訴えてきたが実際にそうなりつつある(と言うよりもなっている)。
 産業界全体で市場リスクを分担する、という日本のビジネスモデルは相場が凪の時であれば十分に機能するが、価格が高騰した場合には自己資本の薄い、ないしは売上高に占める固定費の比率の高い規模の小さめの企業が最も影響を受けることになる。実際日銀短観を見てみても、素材系の中小企業から徐々に業況が悪化している状態だ。
 素材の価格の高騰とともに企業の在庫保有負担は重くなり、同時に資金調達負担ものしかかってくる。それを回避するために在庫を圧縮するわけであるが、それはすなわち時価で素材を買わねばならないことを意味し、価格上昇が続けばそのまま資金調達負担となる(キャッシュが必要に)。
 となると、今まではなるべく借入金を圧縮していた企業であるが当然資金を調達せねばならなくなることを意味するが、サブプライムの影響が広がり各国金融機関のリスク許容度が低下し始めていることを鑑みると、先々、特に年後半以降の企業の資金調達が困難になる可能性があると考えられる。
 実は、前倒しの資金調達の検討を始めるべき時期に来ているのではなかろうか?

 日本の企業は加工貿易を続ける以上、潜在的に素材のショートポジションを取らされている。この潜在的なショートポジションを埋め合わせるべく、現物を前倒し調達するか、デリバティブ等で防衛的にロングポジションを保有しておくべきだ(現物を調達するのは足下の倉庫での保管コストの増加や、食物であったりした場合には保管する期間にも限界があり、追加資金調達を意味するため、あまり推奨は出来ないが...)。

 本日ニュースでトヨタ自動車が「今まで用いてこなかった別の方法も考えねばならない」とコメントしていたが、デリバティブを使うことを躊躇すべきではない、と私は思う。実際、極端なレバレッジを効かせなければデリバティブのリスクもそれほど高い物ではない。是非、もう一度金融機関からの提案を思い返してもらいたい、と思う。

 少しまじめなひとりごとでした。ここに書いてあるとおりの最悪のシナリオになりませんように。