統計速報(2009年7月1日発表分)

 今回の米在庫統計は原油ブル、石油製品ベアな内容であった。稼働率が高い水準を維持、輸入生産がネットでマイナスであったことから原油在庫は大幅な減少。石油製品は製油所の稼働率が高いことから供給が先週と同じく高い水準を維持、価格上昇ピッチが速すぎることに起因すると見られる需要の減少が顕著であったことから、石油製品は大幅な在庫増加となった。今後の価格は石油製品需給に焦点が当たると考えているが、当初の予想通り一時夏場に息切れとなる可能性が高いと予想している。詳しく見てみよう。
 原油は生産が減少、輸入が増加、稼働率が横ばいであったことから先週に続き大幅な在庫減少となった。生産は5,163KBD(▲94KBD)と過去5年の略下限での推移となっている。輸入は9,363KBD(+79KBD)と東側での増加が顕著である。但しこの水準でも過去の最低水準よりも低いレベルであり、米国の原油需要の回復はまだ途半ばであることが伺える。結果、総供給量は14,526KBD(▲15KBD、前週比0.1MBの在庫減少要因)となった。製油所の稼働率はP3以外のすべての地区で悪化しており、稼働率は全体で87.0%(▲0.1%、前週比0.1MBの在庫増加要因)。地区ごとの稼働率の変化はP1から順に、▲1.3%,▲0.4%,+1.5%,▲5.1%,▲2.2%となっている。計算上在庫は前週比で▲0MBの▲3.90MBの在庫減少(先週の在庫増減は▲3.9MB)となるが、若干計算よりも在庫の減少幅は小さく▲3.7MBとなった。結果、在庫水準は350.2MB(▲3.7MB)となった。在庫はすべての地区で大幅に減少している。在庫量の変化はP1から順に、▲0.2MB, ▲0.2MB, ▲1.6MB, ▲0.2MB, ▲1.5MB となっている。FSCは22.8日(▲0.2日)と悪化。石油製品の在庫水準をFSCベースで過去5年のレンジに収めるオペレーションは継続していると見られるが、原油在庫の水準は例年よりも若干高い水準ではあるものの略5年レンジでの推移となっている。今週はSPRは0.6MB小幅増加。イールドカーブの形状に大きな影響を与えると考えられるCushing在庫は28.6MB(+0.4MB)と増加。統計としては市場予想比ニュートラル、統計の内容自体若干ブルな内容であった。

 ガソリン在庫は大幅に増加した。得率が改善したものの稼働率が改善したことから生産が増加、輸入が大幅に減少したものの、需要も不冴えであったことから大幅な在庫増加となった。生産は稼働率が悪化し、得率が+0.2%と改善したことから9,241KBD(+17KBD)となった。総じてFSCを過去5年のレンジ内に留めるオペレーションを継続させている。輸入は979KBD(+8KBD)と大幅に減少し、過去5年レンジを下回るに至った。結果、総供給は10,220KBD(+25KBD、前週比0.2MBの在庫増加要因)となった。需要は4週平均ベースで10,220KBD(+25KBD、前週比0.2MBの在庫増加要因)、直近需要ベースで9,169KBD(+8.25KBD, 前週比0.1MBの在庫減少要因。過去5年平均 9,372KBD, 過去5年最高 9,537KBD, 過去5年最低 9,164KBD)となった。ドライブシーズン中でもあり需要は回復してきていたのだが、足許の価格急上昇もあって需要は一進一退である。前年比ベースの需要の減少は引き続き▲1.2%とマイナスの状態、需要の前週比での変化率は+0.1%(例年+0.1%)と例年並となっている。今後需要の増加が継続するか否かは、景気回復の初期段階における価格上昇に消費者がどれだけついてこれるかに拠ると考えているが、現在の経済環境は決して価格の高騰を容認できる環境にあるとはいえないため、価格がこのままの水準であれば需要は夏場のピークを境に減少する可能性が高いと考えている。7月以降に発表される経済統計睨みの展開が続こう。以上を合計するとバランス上は在庫は+0.1MBの+4.0MBの在庫増加(先週の在庫増減は+3.9MB)となるが、計算を若干下回る+2.3MBの在庫増加となった。在庫変化の内訳は、Conventional83.4MB(+12.9MB)、Blending125.8MB(+2.3MB)となっている。この結果、FSCは23.0日(+0.2日)と先週から上昇しているが、引き続き過去5年の上限レンジを下回っている。需要がこのまま堅調に推移するかどうかは今後発表される経済統計の内容によることとなろう。統計としてはFSCの上昇もあって、ベアな内容であった。

 ディスティレート在庫は先週に続き在庫増加となった。生産は稼働率が悪化し得率が+0.8%と改善したことから4,184KBD(+115KBD)と沿うか。生産の内訳はULSD3,060KBD(+110KBD)、ディーゼルオイル588KBD(▲21KBD)、ヒーティングオイル536KBD(+26KBD)。尚、生産レベルは過去5年の平均水準近辺。在庫の著しい積み上がりを受け、生産調整を余儀なくされているが、ガソリン生産を継続せねばならないことから在庫が増加し続ける状態が続いている。輸入は165KBD(▲124KBD)と横ばいで、過去5年の最低水準を若干上回る程度と、殆ど輸入の必要がないことを示している。この結果、総供給は4,349KBD(▲9KBD、前週比0.1MBの在庫減少要因)となった。4週平均需要は4,349KBD(▲9KBD、前週比0.1MBの在庫減少要因)、直近需要は3,399KBD(▲49.5KBD, 前週比0.3MBの在庫増加要因。過去5年平均 4,079KBD, 過去5年最高 4,160KBD, 過去5年最低 3,981KBD)と、4週平均ベース需要は前年比▲16.3%と大幅な悪化が続いており、前週比ベースでも▲1.4%(例年▲0.5%)と冴えない状況が続いている。全体のバランスでは前週比+0.3MBの+2.4MBの在庫増加(先週の在庫増減は+2.1MB)となるところであるが、+2.9MBの在庫増加となった。総在庫は155MB(+2.9MB, 過去5年平均 117.7MB, 過去5年最高 126.3MB, 過去5年最低 110.9MB)となり、過去5年最高レベル126.3MBを遥かに上回っている。この時期、ディスティレート在庫は増加するが、例年を遥かに上回る高い水準で増加しており在庫圧縮をせねばならない状態である。世界的にディーゼルオイルの在庫水準は高く輸送需要が減少しているといってよかろう。当面は、原油価格が上昇する以外にディスティレートの買い材料は存在しないと言っても言い過ぎではない。逆に言えば原油価格が下落すればディスティレート価格も下落するということだ。製品毎の在庫の内訳はULSDが90.9MB(+0.4MB)、ディーゼルが20.7MB(+0.1MB)、ヒーティングオイルが43.3MB(+19.8MB)。FSCは45.6日(+1.5日)となった。これは過去5年の最高水準である31.0日をはるかに上回るレベルであることは、いまさら繰り返し言うことでもなくなってきた。統計としては引き続きベアな状況を脱していない。